振付け(読み)ふりつけ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「振付け」の意味・わかりやすい解説

振付け
ふりつけ

舞踊用語。舞踊の動きや構図などをつくりだすことをいう。「振を付ける」からきたことばと思われるが、英語ではコレオグラフィーchoreographyといい、これはギリシア語のchoros(群舞)とgraphos(描く)からきている。バレエの発生時は入場や退場の方向などを図形化することだけをいったが、バレエ技術が高度化、複雑化するにつれ、定型化したステップをいかに組み合わせるかが振付師の仕事となった。モダン・ダンスでは定型化がそれほど進んでおらず、自由に動きをつくり、組み合わせている。

 近世日本舞踊(歌舞伎(かぶき)舞踊)では、初期のころは役者自らが振付けをしたが、専門的な振付師は元禄(げんろく)時代(1688~1704)の志賀山万作(しがやままんさく)がその始まりとされる。振付けとは、「奇功を按(あん)じる」意味とともに「振は文句にあり」というように歌詞の文学性を身ぶりで表現することをいう。振付けということばにかわって按舞(あんぶ)、作舞(さくぶ)などが使われることもある。

市川 雅]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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