打遣(読み)うっちゃる

精選版 日本国語大辞典 「打遣」の意味・読み・例文・類語

うっちゃ・る【打遣】

〘他ラ五(四)〙 (「うちやる(打遣)」の変化した語)
① 捨てる。ほうり出す。転じて、むだな事、不本意なことに金銭などを費やすことにもいう。
俳諧・やつこはいかい(1667)「置あへず露のつんもる草の戸に 世をうっちゃりし袖の哀さ
婦系図(1907)〈泉鏡花〉前「『いづれ不漁(しけ)さ』と打棄(ウッチャ)るやうに云ったが」
② (「うっちゃっておく」の形で) 手を出したり口を出したりしないで、そのままにする。かまわないでいる。ほうっておく。
洒落本・二筋道後篇廓の癖(1799)一「まあうっちゃって置いてくんな」
③ (相撲で)うっちゃり①をする。
※相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉現代人気力士評判記「迂濶に寄ったら土俵際に打棄(ウッチャ)られる心配があるから」
土壇場形勢を逆転する。

うち‐や・る【打遣】

〘他ラ四〙 (「うち」は接頭語)
① 体から遠ざかるように、向こうへ伸ばす。また、わきへ寄せる。
伊勢物語(10C前)二七「女の、手洗ふ所に貫簀(ぬきす)をうちやりて」
② そのままにしておく。捨てておく。うっちゃる。
源氏(1001‐14頃)総角「けづることもし給はで程経ぬれど、まよふ筋なくうちやられて」
※俳諧・飛登津橋(1686)「からのふみよめぬ所をうちやりて〈曾良〉 ひともじ買に雪の山道〈コ斎〉」
③ (思いなどを)晴らす。
※右京大夫集(13C前)「なにとなく見聞くことに心うちやりて過ぐしつつ」

うっちゃり【打遣】

〘名〙
① 相撲の決まり手の一つ。相手が寄ってくるところを、土俵際でささえ、自分の体をひねって相手を土俵の外へ投げ出す技。〔相撲講話(1919)〕
② 土壇場で急に形勢を逆転させること。「うっちゃりをくわす」「うっちゃりをくう」などの形で用いる。
闘牛(1949)〈井上靖〉「軽く打棄(ウッチャ)りを喰った自分の不覚さへの堪まらぬ不快感」
③ 泥、ごみなどを海中に捨てる場所。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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