手馴・手慣(読み)てなれる

精選版 日本国語大辞典 「手馴・手慣」の意味・読み・例文・類語

て‐な・れる【手馴・手慣】

〘自ラ下一〙 てな・る 〘自ラ下二〙
① 身につけていて手にあつかいなれる。常に用いているために使いなれる。
源氏(1001‐14頃)手習鈍色は、てなれにし事なれば、小袿袈裟などしたり」
徒然草(1331頃)二九「手なれし具足なども」
仕事などになれて巧みになる。熟練する。
落窪(10C後)一「笛竹の手なるるふしを忘ると思へば」
③ 飼いならしてなつく。
日葡辞書(1603‐04)「Tenare(テナレ)トリイヌ〈訳〉馴れておとなしい鳥または犬」

た‐なれ【手馴・手慣】

〘名〙
① 手に扱いなれること。使いなれていること。
万葉(8C後)五・八一二「言問はぬ木にもありともわが夫子(せこ)が多那礼(タナレ)の御琴地(つち)に置かめやも」
動物を飼いならすこと。また、よくなついていること。
※源氏(1001‐14頃)紅葉賀「君し来ばたなれの駒に刈り飼はんさかり過ぎたる下葉なりとも」

て‐なれ【手馴・手慣】

〘名〙
① 常に用いて、使いなれていること。あつかいなれること。たなれ。
※後撰(951‐953頃)恋二・六一六「わがかどの一むらすすきかりかはん君がてなれの駒もこぬかな〈小町姉〉」
② 仕事などになれてたくみなこと。なれた手ぎわ。
新世帯(1908)〈徳田秋声〉二〇「永い間の手練(テナレ)の世帯向のやうに気が利いた」

て‐ならし【手馴・手慣】

〘名〙
① 手に使いならすこと。
※源氏(1001‐14頃)鈴虫「あさゆふの御てならしにもいかがとてかむやの人をめして」
② 本格的にする前に、練習としてすること。
閨秀(1972)〈秦恒平〉二「次の機会にぜひと思っている『序の舞』のためには手ならしであるような、気軽な意欲だった」

て‐なら・す【手馴・手慣】

〘他サ四〙
① 手なずけてならす。
※源氏(1001‐14頃)若菜下「この手ならしし猫の、いとらうたげにうち鳴きて来たるを」
② 手になじませる。使いならす。
※後撰(951‐953頃)雑二・一一三七「ふきいづるねどころ高くきこゆなり初秋風はいざてならさじ〈小弐乳母〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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