精選版 日本国語大辞典 「忝・辱」の意味・読み・例文・類語
かたじけな・い【忝・辱】
〘形口〙 かたじけな・し 〘形ク〙 (高貴なものに対して下賤なことを恐れ屈する気持を表わす)
① 高貴なものが、いやしいものに接していることがもったいない。おそれ多い。恐縮だ。申しわけない。
※竹取(9C末‐10C初)「忝なく、きたなげなる所に、年月をへて物し給事、きはまりたるかしこまりと申」
② 尊ぶべきものと比べて恥ずかしい。わが身が面目ない。
※続日本紀‐宝亀三年(772)五月二七日・宣命「天の下の百姓(おほみたから)の思へらまくも恥づかし、賀多自気奈志(カタジケナシ)」
※宇津保(970‐999頃)蔵開中「『さて、かかる物をなん給ひて侍る』とて、帯を見せ奉り給ふ。これはさ聞く御帯也。いとかたじけなくたまはせためるは」
[語誌](1)「源氏物語」では、上位者への恐縮や感謝の気持を表わすが、「かしこし」ほど畏敬の念は強くない。狂言では、「ありがたい」がより敬意の高い語として用いられるようになる。
(2)「浪花聞書」によれば、近世、大坂では、「ありがたい」という言い方はあまりなく、「かたじけない」を上位者に対して使っていたが、江戸では下位者に対してだけ使われたという。
(2)「浪花聞書」によれば、近世、大坂では、「ありがたい」という言い方はあまりなく、「かたじけない」を上位者に対して使っていたが、江戸では下位者に対してだけ使われたという。
かたじけな‐が・る
〘自ラ四〙
かたじけな‐げ
〘形動〙
かたじけな‐さ
〘名〙
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報