御出なさる(読み)おいでなさる

精選版 日本国語大辞典 「御出なさる」の意味・読み・例文・類語

おいで‐なさ・る【御出なさる】

[1] 〘自ラ下二〙 ⇒おいでなされる(御出━)
[2] 〘自ラ五(四)〙
[一] (「出る」の尊敬語から転じて) 「行く」「来る」「居る」の意の尊敬語。いらっしゃる。おいでになる。おいでなされる。
① 「行く」の尊敬語。
滑稽本浮世風呂(1809‐13)前「『金兵衛さん、おまへもおいでなさるだらう』『久しい馴染だから供に立ませう』」
② 「来る」の尊敬語。
洒落本・南門鼠(1800)「イヤア是は朝から何んと思し召てお出なさった、お帰りがけかへ」
③ 「居る」の尊敬語。
※洒落本・野良玉子(1801)三「それでもいがやがめへるまで、お出なさればいい」
[二] 補助動詞として用いられる。動作、状態の継続、進行の意で、その主語に当たる人に対する尊敬を表わす。おいでなされる。
(イ) 動詞の連用形に、助詞「て(で)」を添えた形に付く。
※滑稽本・浮世床(1813‐23)初「爰(ここ)に付てお出(イデ)なさりゃア能(いい)が、湯の跡へお客が来りゃア、待たしちゃ置(おけ)やせん」
当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉二「アラ、まだあんな事をいっておいでなさるヨ」
(ロ) 形容詞の連用形に助詞「て」を添えた形に付く。
多情多恨(1896)〈尾崎紅葉〉前「従来(いままで)の方が余程異しくて御在(オイデ)なさる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報