従兄弟・従姉妹・愛子(読み)いとこ

精選版 日本国語大辞典 「従兄弟・従姉妹・愛子」の意味・読み・例文・類語

いと‐こ【従兄弟・従姉妹・愛子】

〘名〙
[一] (愛子) (形容詞「いとし」の語幹に「こ」の付いた語) 上代、親しい者への呼びかけの語で、親しい人、愛(いと)しい者、の意。
※古事記(712)上・歌謡「伊刀古(イトコ)やの 妹(いも)の命(みこと) 群鳥の 我が群れ往なば」
① 父または母の兄弟姉妹の子。おじおばの子。
※令集解(738)喪葬「従父兄弟姉妹。〈古記云。従父兄弟。釈親云。兄弟之子相謂為従父兄弟。案従父姉妹亦同。俗云伊止古波良加良也。従父姉妹者。俗云伊止伎毛也〉」
※女難(1903)〈国木田独歩〉四「従兄弟(イトコ)から送って寄す少年雑誌見たやうなものを読み」
② (鶏肉と鶏卵との親子丼に対して) 牛肉を鶏卵でとじた丼をしゃれていう語。〔東京語辞典(1917)〕
[補注](二)①に挙げた「令集解」の「伊止伎毛(イトキモ)」はイトコイモの約であろう(イモは親しい女性を呼ぶ称)。いとしい男を「伊止古世(イトコセ)(=愛子夫)」といい〔神楽歌‐小前張〕、いとしい女を「以止古女(イトコメ)(=愛子女)」ということもある〔風俗歌拾遺(承徳本古謡集所収)ちちらめ〕。

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