日本大百科全書(ニッポニカ) 「強いAI/弱いAI」の意味・わかりやすい解説
強いAI/弱いAI
つよいえーあいよわいえーあい
アメリカの哲学者サールJohn Rogers Searle(1932― )が「中国語の部屋」問題とともに提示した区別。弱いAI(人工知能)は知的な作業をこなせればよいが、強いAIは人間と同等の意識までをもつことを含意している。サールは、チューリングテストは対話の応答だけで判断する弱いAIなので、見かけ上は知的にふるまっても実際に対話の中身を理解しているとは限らないとしたうえで、弱いAIは達成可能だが、強いAIはいまのコンピュータでは実現不可能であると論じた。
最近はこの区別が別の意味で使われることも多い。弱いAIは単機能のもので、強いAIは人間のようにさまざまなタスクをこなせるものとする。アルファ碁(AlphaGo)など、ディープラーニング(深層学習)による学習でつくられたシステムは単機能であり、中身の理解も伴わないからサールの定義にもほぼ一致する。しかし、単機能のものがかならずしもそのタスクを理解していないとはいいきれない。
[中島秀之 2019年8月20日]
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