弁慶・辨慶(読み)べんけい

精選版 日本国語大辞典 「弁慶・辨慶」の意味・読み・例文・類語

べんけい【弁慶・辨慶】

[1]
[一] 鎌倉初期の法師熊野別当の子。幼名鬼若丸。武蔵坊と称し叡山西塔に住したが、僧行より武事を好み源義経に従って武名を挙げ、義経没落の折、安宅関の危難を救ったこと、衣川の合戦で立ったまま最期をとげたことなどその武勇は、物語、能、歌舞伎などで伝説化された。
[二] 明治一三年(一八八〇)北海道開拓使がアメリカ合衆国のポーター社から購入したテンダー機関車の名称。現在は鉄道記念物として交通博物館に保存されている。
[2] 〘名〙
① 強い者、強がる者のたとえ。内(うち)弁慶陰弁慶炬燵(こたつ)弁慶など。
※雑俳・柳多留‐三八(1807)「弁慶も陰と炬燵は今にあり」
② ((一)(一)が七つ道具を背負っていた姿、また、衣川の合戦で体中に矢を射立てられて立往生した姿に見立てていう)
(イ) 竹筒に数個の孔をあけ、団扇(うちわ)、また、種々の勝手道具などを挿しておく具。
(ロ) あぶった魚を貫き通した串などを挿しておく一尺(約三〇センチメートル)余りの巻藁。〔物類称呼(1775)〕
(ハ) 蝶々・風車などの玩具を売り歩くのに、それらを挿し立てるための竿の頭に藁を束ねたもの。
※雑俳・柳多留‐一〇九(1829)「弁慶へ忠信を差す王子道」
③ (遊里で、大尽客を判官(ほうがん)と称するところから、それに忠節を尽くす者の意とも、酒席に出るとき、鳴り物・道具など持参したものを、弁慶の持つ七つ道具に見立てていうとも) 大尽客の取り巻き。幇間(ほうかん)。多く上方の遊里で用いた語。
洒落本・秘事真告(1757頃)嶋の内の相「茶屋のあたりの悪き所は、判官(きゃく)へいろいろと讒(こみづ)をいふて、余宿(ほか)へ導く辨慶衆も有よし」
人情本・恋の若竹(1833‐39)中「殊に気のついた遣物(つかひもの)で、こび茶(ちゃ)辨慶(ベンケイ)細かいと、あらいとの紬が一反づつ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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