幸福主義(読み)コウフクシュギ

デジタル大辞泉 「幸福主義」の意味・読み・例文・類語

こうふく‐しゅぎ〔カウフク‐〕【幸福主義】

人生目的行為基準を幸福におき、精神の持続的な喜びを重んじる立場幸福説

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精選版 日本国語大辞典 「幸福主義」の意味・読み・例文・類語

こうふく‐しゅぎ カウフク‥【幸福主義】

〘名〙 =こうふくせつ(幸福説)〔普通術語辞彙(1905)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「幸福主義」の意味・わかりやすい解説

幸福主義
こうふくしゅぎ

行為の目的、行為の義務、正邪の基準を幸福に置く倫理的立場。広義の目的論の一形態である。カントのように目的よりも行為の原則や動機を重んじる立場や、キニコス学派、ストア学派やショーペンハウアーのように、幸福を消極視したり否定したりする立場と対立するが、なんらかの意味での幸福を全面的に否定する道徳観はまれである。また、人格の完成は幸福の一部とみなされるから、完成説はかならずしも幸福主義と矛盾しない。幸福主義は、幸福の具体的内容によってさらに細分化される。たとえば、古典的代表例であるアリストテレスでは、万物の目ざす最高善は徳に従った魂の卓越した活動と考えられ、幸福と快楽との同一視が否定されるが、キレネ学派エピクロスホッブズ、功利主義者などは、両者をしばしば同一視する。また、幸福の対象が自己、他人、社会の成員全体のいずれであるかに応じて、幸福主義は利己的、利他的、功利主義的となる。

[杖下隆英]

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