快楽(読み)けらく

精選版 日本国語大辞典 「快楽」の意味・読み・例文・類語

け‐らく【快楽】

〘名〙 (「け」は「快」の呉音)
仏語。気持よく楽しいこと。また、楽しむこと。煩悩を超越した、無我のよろこび。
※宝生院文書‐永延二年(988)一一月八日・尾張国郡司百姓等解「右国分尼寺者、是為朝家鎮護、吏民快楽、所建立也」 〔無量寿経‐上〕
欲望満足によって起こるこころよい感情。かいらく。
太平記(14C後)三〇「天上の婬楽快(ケ)楽も是には及ばじとぞ見へたりける」

かい‐らく クヮイ‥【快楽】

〘名〙 (形動) 気持よく楽しいこと。官能的な欲望の満足によって起こるこころよい感情。〔易林本節用集(1597)〕
西国立志編(1870‐71)〈中村正直訳〉一一「天下固(もと)より食色の欲より快楽なるものあり」 〔易林‐乾卦〕
[補注]漢音で「カイラク」と読むか、呉音で「ケラク」と読むか明らかでない実例が多い。「和英語林集成」の初版再版には「ケラク」だけがあり、改正増補版では「ケラク」とともに「カイラク」も出ている。読み方不明の実例は、明治以前の用例は「ケラク」、明治以後の用例は「カイラク」とした。

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デジタル大辞泉 「快楽」の意味・読み・例文・類語

かい‐らく〔クワイ‐〕【快楽】

心地よく楽しいこと。官能的な欲望の満足によって生じる、快い感情。けらく。「快楽をむさぼる」
[補説]書名別項。→快楽
[類語]歓楽享楽享受悦楽逸楽謳歌淫楽楽しむ気持ちよい快い快感心地よい痛快小気味よい爽快壮快快適カンファタブルすがすがしいさわやか清新清爽晴れやか晴れ晴れさっぱり楽しいうはうはほくほく笑いが止まらない嬉しい喜ばしい欣快きんかい愉快嬉嬉きき欣欣きんきん欣然きんぜん満悦御機嫌朗らか明朗陽気明るい気さく快活楽天的上機嫌晴れ晴れしいぴちぴち生き生き活発からり根明ねあか心が躍る心が弾む心を躍らせる

かいらく【快楽】[書名]

原題、〈イタリアIl Piacere》イタリアの詩人小説家劇作家ダヌンツィオ長編小説。1889年刊行。「罪なき者」(1892年刊)「死の勝利」(1894年刊)とあわせ、「薔薇小説三部作をなす。

け‐らく【快楽】

仏語。煩悩から解放されて得られる安楽。また、浄土の安楽。
かいらく(快楽)」に同じ。
「残忍の外―なし」〈露伴五重塔

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普及版 字通 「快楽」の読み・字形・画数・意味

【快楽】かい(くわい)らく

心地よく楽しい。宋・梅尭臣〔韻に依りて永叔の寄せらるるに和す〕詩 に豪の自ら快樂することを知る 東郊南陌、鬪を競ふ

字通「快」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「快楽」の解説

快楽

武田泰淳の自伝的長編小説。1972年刊行。第5回日本文学大賞受賞。

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