平田彦三(読み)ひらた・ひこぞう

朝日日本歴史人物事典 「平田彦三」の解説

平田彦三

没年:寛永12(1635)
生年:生年不詳
江戸前期の装剣金工家。平田派の開祖旧姓松本氏といい,江戸時代初頭に肥後(熊本県)で栄えた肥後金工の名工細川忠興に従って京都から移住したと伝えられる。主として鐔の制作に従事し,「翁鑢梅花透鐔」「菊透鐔」(いずれも東京国立博物館蔵)などがある。地金には山金,素銅,真鍮を用い,鉄は少ない。板鐔を透かしたものや唐草文などの彫込象嵌を好み,まれに七宝象嵌を施したものもある。平田派には桃山時代の平田道仁を開祖とする七宝の一派があるが,これと肥後の平田派との関係は不明である。彦三は2代目以降も明治まで続いた。

(加島勝)

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百科事典マイペディア 「平田彦三」の意味・わかりやすい解説

平田彦三【ひらたひこぞう】

江戸初期の鐔(たん)工。初世〔?-1626〕は,細川家に仕えて肥後に住む。地金に銅,真鍮(しんちゅう),赤銅などを用い,象嵌(ぞうがん)を得意とした。覆輪鐔を多く制作。2世,3世も存在したが,経歴作品は不明。
→関連項目鐔/鍔

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「平田彦三」の意味・わかりやすい解説

平田彦三
ひらたひこぞう

[生]?
[没]寛永3(1626)
江戸時代初期の肥後派の鐔 (つば) 工。細川忠興に仕え肥後に住んだ。作品には鉄地のほかに,山銅 (やまがね) ,素銅,真鍮,赤銅を素材とする丸形の鐔が多く,地金に種々の加工を施し独特の肌合いをみせた。金,銀の布目象眼や消込象眼にもすぐれていた。

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「平田彦三」の解説

平田彦三 ひらた-ひこぞう

?-1635 江戸時代前期の装剣金工。
細川忠興(ただおき)につかえる。寛永9年細川家の肥後熊本への移封にしたがい,八代(やつしろ)袋町にうつる。鐔(つば)を製作し,地金に銅,真鍮(しんちゅう),赤銅などをもちい,象眼を得意とした。寛永12年死去。本姓は松本。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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