市民宗教(読み)しみんしゅうきょう(英語表記)civil religion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「市民宗教」の意味・わかりやすい解説

市民宗教
しみんしゅうきょう
civil religion

J.-J.ルソーが『社会契約論』のなかで提起した概念。市民宗教は国家と法に対する畏敬の念を喚起するためにキリスト教に代る新しい国民統合のシンボルとして活用される。フランス革命の時代,M.ロベスピエールはその恐怖政治のなかでこれを英雄崇拝の方法として利用した経緯がある。現代では R.N.ベラが国民文化の道徳的凝集力の意味で,つまり集合的アイデンティティを構成する政治的・宗教的な儀礼やシンボルの総称として市民宗教の概念を再構築している。この概念は共同体主義の政治哲学系譜に強い影響を及ぼしている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android