島田宿大井川川越遺跡(読み)しまだじゅくおおいがわかわごしいせき

国指定史跡ガイド 「島田宿大井川川越遺跡」の解説

しまだじゅくおおいがわかわごしいせき【島田宿大井川川越遺跡】


静岡県島田市河原にある川越し施設跡。JR島田駅から西へ約2km、大井川東側の旧東海道沿いに位置し、江戸の防備を考慮した、わが国交通史上特異なものとして広く知られる。徳川家康は、1601年(慶長6)、東海道に宿駅伝馬制度を設けて街道を整備したが、大井川や安倍川など6つの川には橋を架けず、徒歩での通行と定めた。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」といわれるように大井川は東海道最大の難所で、増水によって川留めになると、旅人は水の引くのを何日も待つことがあった。川越しの管理・統制は、当初、島田代官や宿場役人の役目だったが、1696年(元禄9)になると新たに川庄屋が任命された。やがて川会所(かわかいしょ)が置かれて川越し制度が確立され、大井川を渡るには川会所で川札を買って川越し人足に渡し、人足の肩や蓮台(れんだい)に乗って川を渡った。川札の値段は川幅と深さを測って定められ、川越し人足の数は島田と金谷でそれぞれ350人と決められていたが、幕末には650人を超えていた。川会所の建物は、現在、大井川のやや上流の国道沿いに移築されているが、当時の構造をよく留めている。旧東海道沿いには、人足が集まっていた番宿や、川札を現金に替える札場などが復元されている。1966年(昭和41)に国の史跡に指定された。JR東海道本線島田駅からしずてつジャストラインバス「向島西」下車、徒歩約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報