小田原提灯(読み)オダワラヂョウチン

デジタル大辞泉 「小田原提灯」の意味・読み・例文・類語

おだわら‐ぢょうちん〔をだはらヂヤウチン〕【小田原灯】

円筒形で、不用のときは畳んでたもとまたは懐中に入れて携帯のできる提灯。天文年間(1532~1555)小田原の甚左衛門の創製という。ふところ提灯。

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精選版 日本国語大辞典 「小田原提灯」の意味・読み・例文・類語

おだわら‐ぢょうちん をだはらヂャウチン【小田原提灯】

〘名〙
① ぶらちょうちんの一種。折りたたみできる円筒状のもの。天文年間(一五三二‐五五)小田原の甚左衛門という者が創始したという。おだわら。
譬喩尽(1786)二「小田原挑灯(ヲダハラデウチン)とは、飛脚挑灯の本名なり」
老人陰茎異称

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「小田原提灯」の意味・わかりやすい解説

小田原提灯
おだわらちょうちん

小型で円筒(えんとう)状の提灯。折り畳むと上下の枠が組み合わされ、袂(たもと)または懐中に入るので、懐(ふところ)提灯ともよばれ、江戸時代、主として旅行者が用いた。普通、携行するときには布袋(ぬのぶくろ)に入れ、口紐(くちひも)の端にろうそく入れの竹筒または根付(ねつけ)などを取り付け、腰に下げた。これを小田原提灯といったのは、小田原(神奈川県)の甚左衛門という人がつくりだしたからで、享保(きょうほう)(1716~36)のころには全国的に広く用いられるようになり、土産(みやげ)提灯として、小田原名産の一つとされた。

[宮本瑞夫]


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世界大百科事典(旧版)内の小田原提灯の言及

【提灯】より

…初めは一般的に用いられたが,やがて儀式用となり,後世には遊里などで客の送迎に用いられた。小田原提灯も箱提灯と同様に作られたが,これは小型で軽便なのでもっぱら旅行用とされた。ぶら提灯は球形や棗形のもので,これを棒の先端にぶらさげて持ち歩いたのでこの名がある。…

※「小田原提灯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」