室根神社(読み)むろねじんじや

日本歴史地名大系 「室根神社」の解説

室根神社
むろねじんじや

[現在地名]室根村折壁 室根山

室根山の八合目にある。本宮新宮の二社からなり、室根山と通称される。祭神は本宮は伊弉冊命、新宮は速玉男命・事解男命。明治初年までは室根本山権現社(本宮)と室根山権現(新宮)とよばれる別々の神社であった。社伝によれば、養老二年(七一八)元正天皇の勅願により従三位穂積重義・正四位下湯浅権太夫玄晴が紀伊熊野山より海路神霊を陸奥へ運び、九月九日に鬼首おにこうべ(現室根山)に勧請したのが本宮の始まりという。仁寿元年(八五一)円仁が当山に登り護摩法を修し、以後別当寺は天台宗となり、十一面観音を本尊とした。坂上田村麻呂をはじめ、藤原秀衡・源頼朝らに信仰されたという。文応元年(一二六〇)陸奥巡国中の北条時頼は天台寺僧の非礼を怒り、一山の四十八院八十八坊をすべて焼払ったと伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報