客神(きゃくじん)(読み)きゃくじん

日本大百科全書(ニッポニカ) 「客神(きゃくじん)」の意味・わかりやすい解説

客神(きゃくじん)
きゃくじん

外の世界からきた神。「まれひとがみ」ともいう。『日本霊異記(りょういき)』では「仏の神像なり」とあり、『播磨国風土記(はりまのくにふどき)』には韓国(からくに)よりの渡来とし、異形で荒々しい神と表現しており、外来のものに対する畏怖(いふ)感を示す。神社では本来の地主神にかわって祀(まつ)られたり、他から迎えた神をいう。客大明神(だいみょうじん)、客人権現(きゃくじんごんげん)ともよばれ、地主神と同一視する場合もある。福井県敦賀(つるが)市の角鹿(つぬが)神社は客神、政所神(まんどころのかみ)、滋賀県東近江(おうみ)市の押立(おしたて)神社は客神の宮と別称し、日吉(ひよし)大社の末社に客人(まろうど)社(白山姫(しらやまひめ)神社)がある。祭神名はそれぞれに異なり、娼家(しょうか)では客の来訪を祈る神となっている。

[櫻井治男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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