客神(まろうどがみ)(読み)まろうどがみ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「客神(まろうどがみ)」の意味・わかりやすい解説

客神(まろうどがみ)
まろうどがみ

神社に合祀(ごうし)されている寄留的な神々。日本の社の祭神は時代的に多少の変動もみられるが、ともかくいちおう「主神」は古く固定していて、「相殿(あいどの)」として同格の神々が合祀され、また「末社」として古くからの従属的な神々もあわせ祀(まつ)られていた。「客神」は「主神」と本来的なつながりをもたぬ神で、いわゆる「摂社」にあたるが、近代の合祀によるものとは同じではない。漂着その他の由縁他界から来臨した神々には特異の神徳を感得して、それを村氏神などに合祀したものが多いらしい。いわゆる「漂着神」に対する根強い信仰残存であろう。「聖なるもの」が時あって外界から来臨して、人々に「幸」をもたらすという信仰が「神常在」の神社祭祀が定着したのちにもなお久しく残ったのであろう。

[竹内利美]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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