客僧(読み)キャクソウ

デジタル大辞泉 「客僧」の意味・読み・例文・類語

きゃく‐そう【客僧】

旅の僧。旅僧。かくそう。
他の寺に身を寄せている僧。また、法談などのため招かれた僧。かくそう。

かく‐そう【客僧】

きゃくそう(客僧)

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精選版 日本国語大辞典 「客僧」の意味・読み・例文・類語

きゃく‐そう【客僧】

〘名〙
① 国々を行脚して歩く僧。旅僧。山伏。かくそう。
今昔(1120頃か)七「衆僧其の家に集会せる中に、一人の客僧(きゃくそう)有り」
※謡曲・舟橋(1430頃)「これは三熊野より出でたる客僧にて候」
② 客として招かれた僧。客として身を他寺に寄せている僧。かくそう。
※貞享版沙石集(1283)四「客僧のもてなしに、種々の珍物ありけるに」 〔雑蔵経〕

かく‐そう【客僧】

江戸から東京へ(1925)〈矢田挿雲〉一三「この一言広言を吐いた客僧(カクソウ)よりも、日頃僧兵主義を理想とする光圀の耳にさからった」

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改訂新版 世界大百科事典 「客僧」の意味・わかりやすい解説

客僧 (きゃくそう)

客の僧,また回国の僧の意味でもつかわれるが,前近代とくに中世文芸の世界では,客僧とはまず山伏のことである。〈かやうに候者は,鞍馬の奥,僧正が谷に住居(すまい)する客僧にて候〉と,能楽鞍馬天狗》の冒頭でシテが謡いだすこの客僧は,山伏の姿で登場する。同じく《安達原(あだちがはら)》で〈旅の衣は篠懸(すずかけ)の,旅のころもは篠懸の,露けき袖やしほるらん〉の次第で舞台に現れるワキは,熊野本山から旅立ちした順礼回国の山伏であり,また《安宅(あたか)》のシテの武蔵坊弁慶も〈南都東大寺建立のために国々へ客僧を遣はされ候〉と,山伏の姿で現れる。いずこからか来り,いずこかへ去る回国行脚(あんぎや)の山伏は,客僧という呼称で前近代の庶民になじまれた。
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普及版 字通 「客僧」の読み・字形・画数・意味

【客僧】きやくそう

旅僧。

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世界大百科事典(旧版)内の客僧の言及

【長床衆】より

…中世の修験者は,一所不在を本義とし,山から山,寺社から寺社へと修行の旅を続け,客僧とも呼ばれた。これら回国の修行者の,一時の止宿,参籠に供する場が長床で,神社の拝殿や細長い礼殿があてられた。…

※「客僧」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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