宗吉瓦窯跡(読み)むねよしがようせき

日本歴史地名大系 「宗吉瓦窯跡」の解説

宗吉瓦窯跡
むねよしがようせき

[現在地名]三豊市三野町吉津 宗吉

宗吉瓦窯跡は七世紀中頃から八世紀初頭にかけて操業した瓦専用の窯跡。平成三年度の農道敷設に伴う発掘調査により、三号窯の灰原から複弁八葉蓮華文軒丸瓦および偏向唐草文軒平瓦が出土し、日本最初の瓦葺宮殿である藤原ふじわら(現奈良県橿原市)の出土瓦と同笵であることが確認されたため、平成八年(一九七九)九月、国の史跡として指定された。

七世紀の瓦窯跡としては国内随一の規模を有しており、現時点において横一列に並んだ二四基の窯の所在が確認されている。窯の構造はいずれも山条やまじよう山の山麓をトンネル状にくりぬいた地下式有段窖窯であり、窯の分布および規模から、AからC群の三つのグループに分かれることが判明している。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「宗吉瓦窯跡」の解説

むねよしがようあと【宗吉瓦窯跡】


香川県三豊(みとよ)市三野町にある窯跡。農地が広がる丘陵地の小高い斜面にある、飛鳥時代に藤原宮に瓦を供給した窯跡。大正時代に軒丸瓦(のきまるがわら)が発見され、持統天皇造営した藤原京の中枢建物、藤原宮を取り巻く南面の塀の屋根瓦と同じものだったことがわかった。造営には膨大な量の瓦が必要だったため、近畿圏以外からも集められたとみられる。発掘調査により、24基の瓦窯跡と工房跡とみられる掘立柱建物跡の一部が見つかった。古代の窯業生産の様子を示すものとして、1996年(平成8)に国の史跡に指定された。その後の調査で、宗吉17号窯は全長13m、最大幅2m、最大高1.4mで、瓦専用の登り窯としては国内最大級の規模であることが判明した。瓦を焼成する焼成部が長いのは、一度に大量の瓦を生産したためと考えられる。出土品として、藤原宮へ運ばれたとされる平瓦のほか、単弁八葉蓮華文軒丸瓦などがある。この単弁八葉蓮華文軒丸瓦は、窯跡から約10kmのところにある古代寺院から出土した瓦と文様、胎土(たいど)が一致している。宗吉瓦窯は藤原宮だけでなく地元の寺院にも瓦を供給しており、藤原宮の瓦生産に地方豪族がかかわったことを具体的に示す例とされる。現在、史跡公園として整備・保存され、窯のレプリカなどもある。JR予讃線みの駅からコミュニティバス「宗吉」下車、徒歩約5分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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