如来蔵経(読み)にょらいぞうきょう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「如来蔵経」の意味・わかりやすい解説

如来蔵経
にょらいぞうきょう

仏教経典。サンスクリット語でタターガタガルバ・スートラTathāgatagarbhasūtraという。すべての衆生(しゅじょう)が煩悩(ぼんのう)にまとわれているにもかかわらず、「如来蔵」すなわち如来たるべき本性(=仏性)を内に宿しているということを、〔1〕蓮華(れんげ)の台(うてな)に安坐(あんざ)する如来、〔2〕蜜蜂(みつばち)に囲まれた蜜、〔3〕外皮に包まれた穀物、〔4〕汚物中の金、〔5〕地中の宝蔵(ほうぞう)、〔6〕種子から生ずる大樹、〔7〕ぼろにくるんだ仏像、〔8〕王子を懐胎する貧女、〔9〕泥模(でいも)中の鋳像という9種の譬喩(ひゆ)によって説く小部の大乗経典。いわゆる如来蔵思想を最初に提唱した経典として重要。3世紀ごろの成立で、漢訳2種とチベット訳が現存する。

高崎直道

『高崎直道著『如来蔵思想の形成』(1974・春秋社)』『高崎直道訳『如来蔵系経典』(『大乗仏典12』1975・中央公論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

排外主義

外国人や外国の思想・文物・生活様式などを嫌ってしりぞけようとする考え方や立場。[類語]排他的・閉鎖的・人種主義・レイシズム・自己中・排斥・不寛容・村八分・擯斥ひんせき・疎外・爪弾き・指弾・排撃・仲間外...

排外主義の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android