にょ‐い【如意】
〘名〙
① 思いのままになること。
※性霊集‐七(835頃)為知識華厳会願文「逝者化為二金剛之躬一、留人変作二如意之身一」
② (anuruddha の
訳語) 仏語。
読経・
説法の時の講師の僧や灌頂の時の大阿闍梨などがたずさえる具。鉄・銅・角・竹・木などで作り、
先端が巻き曲がって蕨
(わらび)の形をしているもの。
※大安寺伽藍縁起并流記資財帳‐天平一九年(747)「合如意壱拾陸枝 仏物十三枝木叉分三枝」 〔李頎‐題璿公山池〕
③ 道士の持つ具。木・玉・鉄などで作る。昔、道士が陰徳ある貧士に与えたもので、これを振り上げると、思うままのものが出るという。〔晉書‐王敦伝〕
※俳諧・犬子集(1633)二「つぎわけにさけるや如意の玉椿〈氏重〉」
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如意
にょい
説法、講経、法会(ほうえ)などのとき、僧が手に持つ仏具。癢和子(ようかす)ともよばれる。「まごの手」に似た形をし、長さ約1メートルで、骨角や竹木を刻んでつくられる。その起源については、手の届かない、かゆいところを意のままにかけるからとも、形が篆字(てんじ)の「心」の字に似るからともいうが、無著道忠(むじゃくどうちゅう)の『禅林象器箋(ぜんりんしょうきせん)』の説によれば、説法がさまざまな疑問を解決させること、あたかもかゆいところに手が届くようであることを表したものとする。
[永井政之]
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デジタル大辞泉
「如意」の意味・読み・例文・類語
にょ‐い【如意】
[名・形動]
1 物事が思いどおりになること。また、そのさま。
「彼が文華なるも言魂の資を得ざれば文を成すに―ならず」〈逍遥・小説神髄〉
2 僧が読経・説法のときに持つ僧具の一。孫の手の形をし、先端をわらび形に巻き曲げたもの。
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如意【にょい】
説法や講経・法会のとき講師が持ち威儀を正す道具。もと背中をかく道具で意の如くなるところから出た語。官吏の笏(しゃく)のように備忘のためともいわれる。骨,角,竹,木などで製し,孫の手形と雲形とがある。
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如意
にょい
僧侶の持つ仏具の一つで,一種の棒。「思いのままになる」という意味がある。『四分律』にすでにみえ,元来は「孫の手」のようなもので,背中をかくなどのために用いた。
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にょい【如意】
仏事の法具名。棒状でなだらかに曲がり,先端が広がった形をしたもの。木製のほか象牙製,鯨のひげなど素材はいろいろで,先端の部分だけ金属板で装飾的な雲形に作ったものが多い。また柄の部分を玳瑁(たいまい)ばりや螺鈿(らでん)で加飾した豪華なものもある。元来,如意はいわゆる孫の手のように背中をかいたりする日用品で,初期仏教の時代から僧侶が携帯した。古くは爪杖といわれたが,これを用いれば手の届かぬ背中のかゆい所も意のごとくなるところから名付けられたとされる。
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普及版 字通
「如意」の読み・字形・画数・意味
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世界大百科事典内の如意の言及
【孫の手】より
…手に持って自分の背をかく道具。先端を小さな手のようにつくった竹の棒で,爪杖,あるいは如意ともいう。《和漢三才図会》によれば中国の伝説に由来するといい,漢の桓帝の代に蔡経という男が神仙の王の訪問を受けた際,若くて美しい仙女の麻姑(まこ)に会い,鳥のような爪をしているのを見て,その爪で背中をかいてもらったらさぞ気持ちいいだろうと想像した話が《神仙伝》にある。…
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