太祝詞神社(読み)ふとのりとじんじや

日本歴史地名大系 「太祝詞神社」の解説

太祝詞神社
ふとのりとじんじや

[現在地名]美津島町加志

きようばる鎮座加志かし大明神・賀志かし宮などと称した。旧県社。祭神は太詔戸神・雷大臣命。うち雷大臣命は津島直の祖神で(「新撰姓氏録」未定雑姓摂津国条)、津島直は神祇官で卜占を司祭した卜部。当社宮司家はその子孫という。大同元年(八〇六)の牒(新抄格勅符抄)に「太祝詞神 二戸 対馬島」とあり、封戸二戸を充てられた。「続日本後紀」承和四年(八三七)二月五日条に「太祝詞神」とみえ、神階が無位より従五位下になり、貞観一二年(八七〇)正五位下になった(「三代実録」同年三月五日条)。「延喜式」神名帳には下県郡一三座の一つとして「太祝詞フトノトノ神社」とあり、名神大社であった。フトノリトという神名が本来の卜神と考えられるが、大和国添上そふのかみ郡にも太祝詞神社が祀られ(「延喜式」神名帳)、また平安京の二条に鎮座する卜神の太詔戸命神・久慈真智命神のうち太詔戸命神には「本社 大和国添上郡 対馬国下県郡太祝詞神社」と記されるので、津島直が畿内の政権に招かれて卜部になったことに伴う分祀であろうと想定される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

土砂災害

大雨や地震が誘因となって起こる土石流・地滑り・がけ崩れや、火山の噴火に伴って発生する溶岩流・火砕流・火山泥流などによって、人の生命や財産が脅かされる災害。...

土砂災害の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android