卜部(読み)ウラベ

デジタル大辞泉 「卜部」の意味・読み・例文・類語

うらべ【卜部】[姓氏]

姓氏の一。古来卜占ぼくせん祭祀さいしを職とした氏族
[補説]「卜部」姓の人物
卜部懐賢うらべかねかた
卜部兼倶うらべかねとも
卜部兼好うらべかねよし
卜部季武うらべのすえたけ

うら‐べ【×部】

律令制で、神祇官じんぎかんに仕えた職員卜占ぼくせんによる吉凶判断をつかさどった。

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精選版 日本国語大辞典 「卜部」の意味・読み・例文・類語

うら‐べ【卜部】

〘名〙 令制における神祇官(じんぎかん)の下級職員の一つ卜兆(ぼくちょう)に携わる。定員二〇人。うらべの人。〔令義解(718)〕

うらべ【卜部】

姓氏の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「卜部」の意味・わかりやすい解説

卜部
うらべ

律令(りつりょう)制下の神祇官(じんぎかん)に属し亀卜(きぼく)(かめうら)による卜兆をつかさどった伴部(ともべ)。『養老令(ようろうりょう)』では定員20人で、『延喜式(えんぎしき)』にその内訳伊豆5人、壱岐(いき)5人、対馬(つしま)10人とする。卜部は古く大和(やまと)王権下の祭祀(さいし)担当の部として成立したもので、大陸伝来の亀卜と並行してわが国固有の鹿卜(しかうら)(太占(ふとまに))も行われ、前記の3か国以外の諸国にも分布が認められる。東国では「占部(うらべ)」と記す者がほとんどで、鹿卜を主体としたようであるが、とくに常陸(ひたち)国(茨城県)の占部は、中臣(なかとみ)氏と氏族的に結び付く可能性がある。

[加藤謙吉]

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「卜部」の解説

卜部
うらべ

神祇官の伴部(ともべ)。定員20人。おもな職掌は亀卜(きぼく)で,6月・12月の晦日などの大祓(おおはらえ)時の解除も行った。大宝令では定員がなかったらしいが,その官員令別記の規定から「延喜式」まで,対馬の上県(かみつあがた)・下県と壱岐・伊豆から一定数の卜部を貢進させて奉仕させる制度に変化はなかった。775年(宝亀6)卜部中の優秀者2人を卜長上として卜部を管掌させ,のちにこれを宮主(みやじ)と称した。

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