天竺木綿(読み)テンジクモメン

デジタル大辞泉 「天竺木綿」の意味・読み・例文・類語

てんじく‐もめん〔テンヂク‐〕【天×竺木綿】

《初めインドから輸入したところからいう》平織りで、やや厚手の木綿織物。テーブル掛け・敷布・足袋裏地などに用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「天竺木綿」の意味・読み・例文・類語

てんじく‐もめん テンヂク‥【天竺木綿】

〘名〙 白生地の平織綿布。生天竺と晒(さらし)天竺とがあり、足袋・敷布・芯地などに用いる。はじめインド地方から輸入したところからの名称。天竺。
文学者となる法(1894)〈内田魯庵〉三「今の通は天竺木綿(テンヂクモメン)の保(もち)の好(よ)きを嫌って八王子縮緬の切れ易きを尊ぶ」

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改訂新版 世界大百科事典 「天竺木綿」の意味・わかりやすい解説

天竺木綿 (てんじくもめん)

綿織物一種。略して天竺ともいう。1868年(明治1)の輸入統計によれば,イギリスからティークロスT-cloth sheetingという綿布が290万ヤード入っており,外来のものということから,天竺木綿と名づけられたのではないかと思われる。同じ綿織物の粗布細布(さいふ)と似ている。地が厚く経緯糸が密でじょうぶな広幅の標準的平織綿布。生地のまま幟や幕地,小麦粉袋などに使われ,漂白染色をしてシーツ,テーブルクロス,裏地など,広範に利用される。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天竺木綿」の意味・わかりやすい解説

天竺木綿
てんじくもめん

略して天竺ともいう。初めインド地方から輸入されたためこの名が出たといわれるが、一方「T」の字の商標をつけて市場に出されたため、海外ではティー・クロスT-clothとよび、またはシーティングsheetingともよぶ。平織の綿織物の一種で、粗布・細布とははっきりした区別がなく、ただ糸の太さ、密度などが若干異なるだけである。だいたいの組織の標準は経緯(たてよこ)とも20番手糸を用い、密度は経緯とも1インチ(2.54センチメートル)間49~51本ぐらい。金巾(かなきん)よりも若干生地(きじ)が厚いから、シャツ地にはあまり適さないが、生地のままで小麦粉袋、白地・無地染め、捺染(なっせん)したものは敷布・風呂敷(ふろしき)・裏地など、粗布・細布などとほぼ同じ用途に向けられる。

[角山幸洋]

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百科事典マイペディア 「天竺木綿」の意味・わかりやすい解説

天竺木綿【てんじくもめん】

やや地厚な平織の綿織物の一種。もとインドから輸入されたのにちなむ名称。白地のままカバー類,粉袋,芯(しん)地にし,漂白や染色をしてシーツ,テーブル掛け,裏地,ふろしきなどにする。
→関連項目金巾

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