大戸古窯跡群(読み)おおとこようせきぐん

日本歴史地名大系 「大戸古窯跡群」の解説

大戸古窯跡群
おおとこようせきぐん

[現在地名]会津若松市大戸町上三寄・大戸町雨屋

北流する阿賀川会津盆地に差しかかる東岸、標高約三二〇メートルの丘陵上に立地する。この丘陵には焼物に適した安山岩質凝灰岩層が発達し、懐の深い森林の存在は燃料に事欠かない。昭和六一年(一九八六)・同六二年に実施した分布調査で須恵器窯跡一七一基、中世陶器窯跡三六基、礎石建物群三ヵ所、古代製鉄遺跡三ヵ所、中世墓群三ヵ所、中世狼煙台等が確認された。同六三年から三ヵ年計画で発掘調査を実施した。この結果、須恵器窯は半地下式と地下式の窖窯があり、そのなかには窯壁や焚口部に石組を行ったものも認められた。製品には坏・蓋・高坏・双耳坏・盤・碗・瓶・甕・壺があり、これらの製品はとくに長頸瓶を中心に福島県内および宮城県内各地の遺跡から発見されている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報