窖窯(読み)あながま

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「窖窯」の意味・わかりやすい解説

窖窯
あながま

傾斜地地面に穴を掘抜いて構築した窯。須恵器,瓦,埴輪などが焼かれ,室町時代末期に朝鮮から登り窯が入ってくるまで,この形式の窯が使用された。焚口から燃焼室へは若干下降するが,それから焼成室は急な登りになり,30度に及ぶものもある。この斜面に台を置いて土器を安定させて焼く。年代が新しくなると,分炎柱が燃焼室と焼成室の間にできることもある。

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世界大百科事典(旧版)内の窖窯の言及

【窯】より

…窯の形式は,立地条件,製品の質や量,燃料の種類などによって変化する。
[中国]
 現在知られている最古の窯は,新石器時代の裴李岡文化(前6000‐前5000)の窯で,窯址の保存状態は悪いが,地面を掘りこんで造った小型の横穴式の窯(窖窯(あながま))とみられている。これに続く仰韶文化の西安半坡遺跡(前5000‐前4000)では,横穴式,竪穴式など4種類の窯が発見されており,窯に対する関心が高まったことがうかがえる。…

【瓦窯】より

…登窯の名称は,製陶用の窯に関して従来から陶芸家や研究者の間でそう呼ばれているもので,その構造は傾斜面に沿って下から上に向かって地表に数室を連続させた連房式となっている。これに対し,瓦や須恵器製作用の登窯は,傾斜地に設けている点では一致するが,多くが地下式または半地下式の不連続窯であることから,製陶用登窯と区別して窖窯(あながま),あるいは傾斜窯という名で呼ぶ研究者もある。 登窯には,斜面に沿って地下にトンネル状の斜坑を掘って窯体とした地下式,斜面に細長い溝を掘って窯体の大部分を地下に設け,天井部を地上に構築した半地下式,窯底を斜面上に設けて窯体全部が地上に出た地上式の三つがある。…

【須恵器】より

…縄文・弥生土器,土師器(はじき)などの酸化炎焼成による赤焼きの土器に対して,須恵器は窯内で還元炎焼成された。須恵器の窯は,焚口から煙出しまで原則としてひとつながりのトンネル状を呈し,一般に窖窯(あながま)とよぶ。全長8~10m,床(最大)幅2~3m,天井(垂直)高1.5m前後の大きさを標準とし,時代や地方によって若干の差異がある。…

※「窖窯」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」