夜一夜（読み）ヨヒトヨ

デジタル大辞泉

よ‐ひとよ【夜一夜】

［副］夜どおし。よもすがら。一晩中。よっぴて。
「―ろくろく安気に眠ったこともなかったほど」〈藤村・夜明け前〉

出典　小学館

精選版 日本国語大辞典

よ‐ひとよ【夜一夜】

〘名〙 夜どおし。よもすがら。一晩中。終夜。よっぴて。よひとい。よひとよさ。

※古今（905‐914）雑上・八八四・詞書「よひと夜さけをのみ、物語をしけるに」

[語誌]主に平安時代に用いられた語で、「よもすがら」「よすがら」が主として改まった場面や静かな雰囲気を背景に使われ、和歌でも用いられたのに対して、日常的でややにぎやかな雰囲気を背景に使われる傾向があり、和歌では用いられなかった。

よっ‐ぴとよ【夜一夜】

〘名〙 (「よひとよ（夜一夜）」の変化した語) ＝よっぴて（夜一夜）

※杜詩続翠抄（1439頃）三「此両句、夜一夜(ヨッヒトヨ)の事也」

よっ‐ぴとい【夜一夜】

〘名〙 (「よひとよ（夜一夜）」の変化した語) 夜どおし。一晩中。やや強調する文脈で用いられることが多い。よっぴと。

※杜詩続翠抄（1439頃）五「今はよっひとい通宵備孝之甚也」

よっ‐ぴて【夜一夜】

〘副〙 (「よっぴとい（夜一夜）」の変化した語) 一晩中ずっと。夜どおし。夜もすがら。よっぴとよ。

※雑俳・湯だらひ（1706）「蚊屋出さにゃ・よっひて住吉おどり」

よ‐ひとい【夜一夜】

〘名〙 「よひとよ（夜一夜）」の変化したもの。

※中華若木詩抄（1520頃）下「忙了とは、夜ひとい、いそがわしくて、はてたと云心也」

出典　精選版 日本国語大辞典