日本大百科全書(ニッポニカ) 「塩田(佐賀県)」の意味・わかりやすい解説
塩田(佐賀県)
しおた
佐賀県南西部、藤津(ふじつ)郡にあった旧町名(塩田町(ちょう))。現在は嬉野市(うれしのし)の東半分を占める地域。旧塩田町は、1918年(大正7)町制施行。1956年(昭和31)五町田(ごちょうだ)村、久間(くま)村と合併。2006年(平成18)嬉野町と合併して市制施行、嬉野市となった。塩田川が、地域の中央を東に貫流し、有明(ありあけ)海に注ぐ。国道498号が通じる。古代駅路の塩田駅、近世長崎街道の塩田宿で知られ、かつては塩田川の河港としてにぎわった。明治以後も有田焼(ありたやき)原料の天草陶石(あまくさとうせき)などが陸揚げされ、陶土の町として発展。かつては水車利用の陶土工場が河岸に並んだが、近年は電動粉砕機が普及し、近代的な陶土工場も建設された。平地に水田、丘陵斜面に果樹園、茶畑などが開ける。野菜栽培や畜産もみる。水害常襲地で、長崎街道も近世後期には塚崎(つかざき)(武雄(たけお))経由となった。中心市街地の旧豪商西岡家住宅は切妻造(きりづまづくり)、江戸時代後期の建築で国指定重要文化財、隣接する杉光陶器店は国指定登録有形文化財、八天神社(はってんじんじゃ)参道の石造眼鏡橋は県指定重要文化財、唐泉(とうせん)山のシイの天然林は県指定天然記念物。
[川崎 茂]
『『塩田町史』上下(1983、1984・塩田町)』