在宅死(読み)ざいたくし

日本大百科全書(ニッポニカ) 「在宅死」の意味・わかりやすい解説

在宅死
ざいたくし

自宅で死を迎えること。現代の日本人終末医療介護を受けながら病院や施設で死を迎える人が9割近くに上る。在宅死は、病院死と対比的に用いられる。

 日本人の在宅死の比率は、1950年(昭和25)に約80%であったが、1977年度を境に在宅死と病院死の割合が逆転し、2010年(平成22)には約12%へと激減した。

 また、2012年に日本の65歳以上の高齢者が初めて3000万人を突破し、総人口の24.1%となった。同時に東京都では1世帯当りの人数が初めて2人を割り込んだ(23区では2005年から)。独居状態の高齢者が増加し、100歳以上の高齢者不明問題や孤独死への対応が社会問題化している。今後も高齢者は増え続ける状況で、国は医療保険費の圧縮を図るためにも「在宅死比率40%」を目標とし、診療・介護報酬制度を改正した。在宅療養支援体制が整備されつつあるが、増え続ける独居高齢者への対処という問題は解決されておらず、在宅医療や看取りに関する取り組みも進んでいない。

[編集部]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

知恵蔵mini 「在宅死」の解説

在宅死

入院せず自宅で看取られて亡くなること。適切な治療を受けず1人で亡くなる「孤独死」と違い、家族などと共に住み慣れた居宅で治療・療養を受けながら亡くなるもの。終末期の医療・看護の形の一つで、在宅死を希望する人が増えてきているとされている。在宅死を実現するためには、家族の意向や経済的負担などが壁となっており、本人が自宅での死を望んでも叶えられないことも多いのが現状で、訪問医・看護士・介護士の確保など在宅医療の充実が求められている。

(2015-4-22)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

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