厳・大(読み)いかい

精選版 日本国語大辞典 「厳・大」の意味・読み・例文・類語

いか・い【厳・大】

〘形口〙 いか・し 〘形ク〙 (上代ではシク活用か。→いかし(厳))
猛威がある。荒々しい。きびしい。はげしい。いっかい
※宇津保(970‐999頃)俊蔭「おそろしげにいかきものどもひと山に満ちて」
② (よい場合にも、悪い場合にもいう) 程度が甚だしい。たいそうな。ひどい。いっかい。
史記抄(1477)一一「孔子もいかい力つよぢゃぞ」
洒落本・禁現大福帳(1755)一「いかい空気(ウツケ)といわるべし」
③ 大きい。多い。壮大である。事物の長、大、多であることをいう。〔日葡辞書(1603‐04)〕
狂言記・竹生島参(1700)「さて身共は、つひに竹生島へ参らぬが、いかい参りか」
[語誌](1)中古の「いかし」は、「いかめし」が視覚的に荘厳に見えることをいうのに対して、純粋直接に勢威のあることをいう。
(2)中古では「荒々しい・厳しい」などの意で用いられていたが、室町時代頃からは「程度が大きい」意で用いられるようになる。近世では上方語的な連用形「いかう」の形が一般に用いられ、「いかく」は東国語としてまれに用いられることはあっても江戸語としてはほとんど用いられなかった。→いこう(厳)
(3)江戸語では「きつい」、上方語では「ゑらい」と「きつい」が一般に用いられたこともあって、「いかい」の勢力は江戸末期には衰退していった。→「いかし(厳)」の語誌

いかい【厳・大】

〘副〙 (形容詞「いかい」の連体用法「いかい事」などから変化したものか) たいそう。ひどく。いっかい。
※雑俳・蓬莱山(1709)「手おひする役者はいかいくたびれふ」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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