南関(読み)なんかん

改訂新版 世界大百科事典 「南関」の意味・わかりやすい解説

南関[町] (なんかん)

熊本県北西端,玉名郡の町。人口1万0564(2010)。町域は筑肥山地に属する丘陵性山地によって占められ,南東部を菊池川支流の内田川が南東流し,北西部を関川が南流する。南西は荒尾・玉名両市,北西は福岡県大牟田市に接する。中心市街の関町は古くは大水(おおむつ)郷の地で,中世には松風の関または大津山の関とよばれる関所があった。江戸時代には肥後筑後を結ぶ街道の宿場町として栄えた。明治以後は鉄道が町を離れて開通したために衰微した。現在は九州自動車道が通り,南関インターチェンジもできた。国道443号線も通じる。農業中心の町で,米作や野菜,ミカン,タバコの栽培,畜産などが行われ,特産品として手延べそうめんが知られる。西南戦争の官軍本営が置かれた正勝寺には官軍墓地などがある。南部は小岱山(しようだいさん)県立自然公園に属する。また1632年(寛永9)細川忠利の熊本入部に従ってきた上野(あがの)焼の陶工が始めた小代焼の窯跡が残り,現在も茶器,壺,植木鉢などの日用陶器を焼く。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報