勘弁・勘辨(読み)かんべん

精選版 日本国語大辞典 「勘弁・勘辨」の意味・読み・例文・類語

かん‐べん【勘弁・勘辨】

〘名〙
① 物事の理非善悪をよく考えること。考えわきまえること。熟考すること。
※延喜式(927)二二「凡大宰府管内諸国嶋大帳。調帳。税帳。令府雑掌勘申。但筑前。筑後豊前豊後肥前。肥後等国。副当国雑掌。各得勘弁
※連歌比況集(1509頃)「先連歌をせんと思はば、前句を能々勘弁すべし」
② 物事をうまくやりくりすること。とくに経済的な面でのやりくり算段や計算についていう。
※甲陽軍鑑(17C初)品三二「此助兵衛は、損徳の考能して、山川迄も、所務の勘弁(カンベン)上手の人なれば」
③ 他人の誤りを許すこと。こらえること。勘忍。
※談義本・世間万病回春(1771)五「各かんへん有べし。拙者一人と余の医師十人がつり合ふ証拠で御座る」
※人情本・春色辰巳園(1833‐35)初「おめへにゃアいふことが沢山(どんと)あるが、此方ゃア勘弁(カンベン)して居てやるのだ」
怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉一「何を家来めが無調法を致しましたか存じませんが、当人に成り代り私がお謝罪(わび)申上ます。何卒御勘弁を」
④ 禅宗で、修行者の力量素質を試験することにいう。
※百丈清規抄(1462)二「入室々々と云は、学者を勘弁せうとてぞ」 〔臨済録

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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