労働者募集取締令(読み)ろうどうしゃぼしゅうとりしまりれい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「労働者募集取締令」の意味・わかりやすい解説

労働者募集取締令
ろうどうしゃぼしゅうとりしまりれい

1924年(大正13)12月に出された労働者の募集を規制する内務省令。日本経済は第一次世界大戦の中ごろから急成長を遂げ、労働力の需要が増大した。1920年に第一次大戦後の反動恐慌が始まって以降も、紡績製糸などの繊維産業では女性労働力の不足状況が続いた。各企業は女工の募集を競い合い、甘言を用いたり、応募を強要したりするのが日常茶飯事となり、さまざまな弊害が引き起こされた。そのために、従来各地の警察の判断にゆだねられていた労働者募集業務に対する取締りを全国的に統一することが必要となり、この省令が発せられた。おもな内容は同業務従事者の活動を許可制とし、監督を強化することであった。この省令が募集業務の改善に資したところは少なくないが、これだけで従来の弊害が一掃されたわけではなかった。1938年(昭和13)厚生省令「労働者募集規則」の公布施行により廃止

[三宅明正]

『細井和喜蔵著『女工哀史』(岩波文庫)』

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