女工(読み)じょこう

精選版 日本国語大辞典 「女工」の意味・読み・例文・類語

じょ‐こう ヂョ‥【女工】

〘名〙
① 縫殿寮(ぬいどののつかさ)所属女性職員。染織裁縫を仕事とする女子細工人
政事要略(1002頃)六七「女工今説、染黒半臂紫蘇芳者、赤入黒」
※光悦本謡曲・呉服(1556頃)「みは唐の名にしおふ女工の昔を思ひ出る」
工場で働く女子の労働者。女性の職工。女子工員。〔広益熟字典(1874)〕
※初すがた(1900)〈小杉天外〉五「然(さ)う、工場へ行ったんだって? ぢゃ女工(ヂョコウ)なのねえ」
柳橋新誌(1874)〈成島柳北〉初「大抵妓皆驕恣懶惰(〈注〉わかままなまけ)、断じて女工(〈注〉シゴト)を為さず」

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デジタル大辞泉 「女工」の意味・読み・例文・類語

じょ‐こう〔ヂヨ‐〕【女工】

明治以降第二次大戦まで工場で働く女性の労働者をいった語。女子工員。
[類語]工員職工男工

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百科事典マイペディア 「女工」の意味・わかりやすい解説

女工【じょこう】

作業場で働く女子労働者を呼んだ呼称明治維新後日本工業の中核となった繊維産業で女工(当初工女と呼ぶ)が本格的に出現。明治10年以前は旧士族の子女が多かったが,それ以降は貧農出身の子女が大半を占めた。遠方から募集され,不衛生な寄宿舎に拘禁された女工等は,過酷な労働条件下で低賃金労働に縛り付けられた。第1次大戦後は一部では労働条件の改善が図られたが,従前同様劣悪な条件下にあり,《女工哀史》が記された。
→関連項目職工事情

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「女工」の解説

女工
じょこう

雇用されて工場で働く女子労働者。近代日本の工業化を担った紡績業・製糸業では,女工は労働力の中核で,重工業化が進展する昭和初年まで工場労働者の過半を占めた。女工の多くは農家の家計補助の役割を担うものとして供給され,労働条件は劣悪で,長時間労働・低賃金・劣悪な作業環境に苦しんだ。こうした状況は明治期を通じてほとんど変化がなかった。

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普及版 字通 「女工」の読み・字形・画数・意味

【女工】じよこう

女功。

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