副じん皮質ホルモン(読み)フクジンヒシツホルモン

化学辞典 第2版 「副じん皮質ホルモン」の解説

副じん皮質ホルモン
フクジンヒシツホルモン
adrenal cortical hormone

副腎皮質から分泌されるステロイドホルモン総称.また,これらと同様の生理作用をもつ合成ステロイド物質を含めてコルチコイドともいう.副腎皮質ホルモンは,活性のあるものとないものを含めて約50種類単離されているが,大部分は副腎皮質ホルモンの前駆物質,代謝産物などである.副腎皮質ホルモンは,副じん皮質刺激ホルモンの刺激により副腎皮質より分泌され,糖質コルチコイド(glucocorticoid),鉱質コルチコイド(mineralocorticoid),副腎性性腺ホルモンの三つのステロイドホルモンを分泌する.糖質コルチコイドは,副腎皮質の束状層より分泌され,コルチゾンコルチコステロンヒドロコルチゾンなどがこれに属する.生理作用として糖質,タンパク質代謝作用,抗炎症作用,抗アレルギー作用,免疫抑制作用などが主流であり,これらの作用にもとづき,副腎皮質機能不全症,リウマチ性疾患,アレルギー性疾患,皮膚疾患,慢性リンパ性白血病などの治療に用いられている.鉱質コルチコイドは副腎皮質の球状層より分泌され,アルドステロン11-デオキシコルチコステロンなどがこれに属する.生理作用としては,水,電解質代謝作用がおもなものである.副腎不全の治療に用いられている.副腎皮質の網状層より得られる副腎性性腺ホルモンとしては,アドレノステロン,デヒドロエピアンドロステロンプロゲステロンなどがあげられる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報