兵主神社(読み)ひょうすじんじゃ

精選版 日本国語大辞典 「兵主神社」の意味・読み・例文・類語

ひょうす‐じんじゃ ヒャウス‥【兵主神社】

[一] 滋賀県野洲市五条にある神社。旧県社。祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)八千矛神(やちほこのかみ)景行天皇が平定に用いた矛の神威を兵主大神として奉斎。延喜式名神大社
[二] 兵庫県丹波市春日町黒井にある神社。旧県社。祭神は大己貴命・少彦名神(すくなひこなのかみ)ほか二柱。疱瘡(ほうそう)守護神
[三] 兵庫県多可郡黒田庄町岡にある神社。旧県社。祭神は大己貴命ほか四柱。延暦三年(七八四)の創建と伝えられる。

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日本歴史地名大系 「兵主神社」の解説

兵主神社
ひようずじんじや

[現在地名]中主町五条

野洲やす川下流域の野洲平野の中心部に鎮座する。祭神は八千矛やちほこ神。旧県社。祭神は古くは大己貴おおなむち命とされ、また天日槍系の人々が祀ってきた外来神ともいう。慶長九年(一六〇四)に記された「兵主神社縁起」によれば、養老二年(七一八)金色の異光に導かれてがさき浦に至った五条資朝に、神(不動明王)が兵主明神として降臨を夢告、琵琶湖中を大亀に乗って渡来してきた白蛇(兵主明神)五条ごじよう村に移し奉祀したという。

〈近江・若狭・越前寺院神社大事典〉

〔古代・中世〕

「延喜式」神名帳に載る野洲郡の名神大社「兵主ヒヤウスノ神社」に比定される。「三代実録」貞観四年(八六二)正月二〇日条によると兵主神は正五位下を授けられ、同七年には従四位上(六月一四日条)、同八年正四位下(一二月二六日条)、同九年正四位上(二月二七日条)、同一六年従三位(八月四日条)と急速に昇叙している。寛平九年(八九七)六月二三日の太政官符(類聚三代格)では、金勝こんしよう(現滋賀県栗東町)の年分度者二人のうち一人は、護法の鎮守である三上みかみ神社(現同県野洲町)と当社のために充てられた。「日本紀略」天延二年(九七四)五月七日条に、当社と三上神社の両社において三月以来連日太鼓・鉦を打鳴らす音がするという怪異が伊勢国司から報告され、卜占が行われている。近江国における霊威ある神として諸国に知られており、「神道集」巻八に上野国覚満が近江国鎮守社として当社に祈願したことが記されている。

兵主神社
ひようずじんじや

[現在地名]岸和田市西之内町

「延喜式」神名帳にみえる同名神社に比定される。祭神は天照大神・八幡大神・菅原道真。旧郷社。大宮・荒神と称され雨降の神として崇敬されてきた。かつて当社は加守かもり郷の総社で、西之内にしのうち上松かんまつ下松しもまつ尾生おぶ包近かねちか藤井ふじい別所べつしよぬま春木はるき・加守・額原がくはらの一二ヵ村を氏地とし、各村より禰宜一人ずつを出していたが、天正年間(一五七三―九二)兵火にかかって以後、各村はそれぞれ産土神を勧請したため、西之内村だけで祭祀を行うことになった。

兵主神社
ひようずじんじや

[現在地名]豊田市荒井町 松島

祭神大物主神ほか七柱。以前はうめつぼ荒井あらい両村の産土神で大島おおしま大明神と称した。「延喜式」神名帳賀茂郡七座のうちに「兵主神社」とある。創建は不詳。正徳二年(一七一二)の棟札がある(三河国西加茂郡誌)

兵主神社
ひようすじんじや

[現在地名]むつ市大湊上町

大湊上おおみなとかみ町の中ほどの小高い所に位置する。祭神は伊弉諾命で、旧村社。明治初年まで釜臥山下居大明神と称したが、廃仏毀釈により現社名に改めた。宝暦(一七五一―六四)の頃の御領分社堂に下居明神宮とみえ、別当は修験明泉院であった。同書に「拙僧先祖勝尊代ニ建立仕候、当時ハ宮無之社地斗に御座候、尤釜臥山を勧請仕候」とある。延宝七年(一六七九)の再建と伝える(大湊町誌)。寛政年間(一七八九―一八〇一)の「邦内郷村志」に「大明神社 九月十九日」とみえるのは当社であろう。

兵主神社
ひようすじんじや

[現在地名]黒田庄町岡

門柳もんりゆう川の南岸に位置する。祭神は大己貴命。旧県社。古代は「播磨国風土記託賀たか郡の条にみえる黒田くろだ里、中世は黒田庄内の大志野おおしの郷に属する。「延喜式」神名帳の多可郡兵主神社に比定される。旧称は兵主明神・兵主五社大明神といい、もとは中国の武神であるとの説がある。

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事典・日本の観光資源 「兵主神社」の解説

兵主神社

(滋賀県野洲市)
湖国百選 社/寺編」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

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