六角経蔵(読み)ろつかくきようぞう

日本歴史地名大系 「六角経蔵」の解説

六角経蔵
ろつかくきようぞう

[現在地名]高野町高野山

金堂南西に東向きに建つ。六角六面の堂で、紺紙金字一切経が安置されて金泥一切こんでいいつさい経蔵とも、また美福門院により荒川あらかわ(現和歌山県桃山町)が寄進されたので荒川経蔵ともいう。平治元年(一一五九)七月二日、鳥羽天皇妃美福門院により天皇追善菩提のために建立され(「高野山興廃記」ほか)、このとき美福門院自ら書写した金泥一切経が納められ、座主寛遍を大導師に検校俊覚を呪願とし、三〇口の色衆を請じて落慶供養、および金泥一切経供養が行われた(同書ほか)。堂塔建立次第(続風土記)によると、美福門院は京都仁和寺の経蔵にならって二蓋八角の経蔵を建立するよう命じたが、完成したものは一蓋六角の建物であったという。この時の建物は一面二間半の六面六角で、内陣も六角形の構造で、その一角に快慶作の本尊釈迦如来像を、五方の経棚には金泥一切経を安置し、外陣の勾欄壇には快慶作の四天王・深沙大将執金剛神の諸像を配したといわれる(続風土記)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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