八橋模様(読み)やつはしもよう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「八橋模様」の意味・わかりやすい解説

八橋模様
やつはしもよう

物語模様の一つ。『伊勢(いせ)物語』東下(あずまくだ)りから取材したもの。愛知県知立(ちりゅう)市の東方、逢妻(あいづま)川の南に、水の流れがクモ手足のように、八つに分かれて流れいく所があり、ここに橋が八つ架けられていたので、八橋の地名がつけられたという。ここは、『伊勢物語』にカキツバタ名所として詠まれた所で、八橋模様にはカキツバタが添えられることが多い。

 桃山時代から江戸時代にかけて流行した模様で、とくに尾形光琳(こうりん)の国宝八橋蒔絵螺鈿硯箱(まきえらでんすずりばこ)』(東京国立博物館)が有名である。

村元雄]


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