八尾(旧町名)(読み)やつお

日本大百科全書(ニッポニカ) 「八尾(旧町名)」の意味・わかりやすい解説

八尾(旧町名)
やつお

富山県南部、婦負郡(ねいぐん)にあった旧町名(八尾町(まち))。現在は富山市の南西部を占める地域。旧八尾町は1889年(明治22)町制施行。1953年(昭和28)保内(やすうち)、杉原(すぎはら)、卯花(うのはな)、室牧(むろまき)の4村、1957年野積(のづみ)、仁歩(にんぶ)、大長谷(おおながたに)の3村と合併。2005年(平成17)富山市に合併。岐阜県境山地から山麓(さんろく)の富山平野の一部を占め、室牧川、野積川、久婦須(くぶす)川、仁歩川が北流して旧町域の中心部で合流して井田川となる。JR高山本線、国道471号、472号が通じ、富山駅からのバスの便も多い。中心の八尾は、天文(てんぶん)年間(1532~1555)飛騨高原郷(ひだたかはらのごう)から浄土真宗聞名寺(もんみょうじ)がこの地に寺基を定めてより開け、江戸時代には谷口市場町としても発達した。野積、室牧など河谷の村々では富山藩政時代から富山売薬の包み紙などの和紙生産が盛んで、現在も袋物や小物などの工芸品を製造する。9月1~3日の「風の盆」は「越中オワラ節(えっちゅうおわらぶし)」にのって八尾が唄(うた)と踊りに明け暮れる。八幡(はちまん)社の祭礼に曳(ひ)き回される曳山(ひきやま)は県の有形民俗文化財。県境の白木峰(しらきみね)一帯県立自然公園

[深井三郎]

『『八尾町史』全2巻(1967~1973・八尾町)』


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