充所・宛所・当所(読み)あてどころ

精選版 日本国語大辞典 「充所・宛所・当所」の意味・読み・例文・類語

あて‐どころ【充所・宛所・当所】

〘名〙
① (充所・宛所) 古文書学の用語。宛名(あてな)のこと。文書を差し出す相手。通常文書の受取者となる。書状、奉書形式の場合は文書の奥、日付の後に「殿」などの敬語を添えて書かれるが、符、牒、移、下文などの公文書では文書の袖の書き出し第一行に書かれる。充所には充名のほか、上所(あげどころ)、敬語、脇付を加えることもある。充書(あてがき)
※親元日記‐寛正六年(1465)一一月六日「一色五郎殿鮭に御状在之。御返事充所恒屋」
② (当所) 打ち当てる所。当てるべき所。
※風姿花伝(1400‐02頃)別紙口伝「年寄りぬればその拍子のあてどころ、太鼓、歌、鼓の頭(かしら)よりは、ちちと遅く足を踏み」
③ (当所) 意図する所。心あたり。目的。
至花道(1420)闌位の事「上手は非と心得ながらするを、初心は、これを是と見妄(けんまう)して似するほどに、たがひのあて所(ドコロ)黒白の違いなり」
④ ものごとを成功させる場所。
浮世草子傾城禁短気(1711)六「江戸抓取(つかみどり)の当所(アテドコロ)にはならず」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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