何無(読み)なんとない

精選版 日本国語大辞典 「何無」の意味・読み・例文・類語

なんと‐な・い【何無】

〘形口〙 なんとな・し 〘形ク〙 (副詞「なんと」に形容詞「ない」が付いてできたもの)
① とり立てていうほどのことはない。平凡である。また、差し障りがない。
史記抄(1477)一七「上はなんとない様で内心が毒らしうて人を傷害するぞ」
② はっきりした理由などのない。
絵本(1950)〈田宮虎彦〉「失望の裏で、私は却って何とない安堵を感じて」

なんと‐なく【何無】

〘副〙 (副詞「なんと」に形容詞「なし」の連用形が付いてできたもの) はっきりとした理由や目的意識などのないまま、漠然とした判断をしたり行動したりするさま。どことなく。なんとなし。なんとのう。なんとはなし。
※雑俳・藐姑柳(1785)五月二五日「何(な)ンとなく友達女房去れと云ひ」

なんと‐なし【何無】

〘副〙 (「に」を伴って用いることもある) =なんとなく(何無)
野菊の墓(1906)〈伊藤左千夫〉「此頃は何となし私に突き当る様な事ばかし言って」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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