仕出・為出(読み)しだす

精選版 日本国語大辞典 「仕出・為出」の意味・読み・例文・類語

し‐だ・す【仕出・為出】

〘他サ五(四)〙 (「し」はサ変動詞「する」の連用形)
① やり始める。しかける。〔文明本節用集(室町中)〕
※浮世草子・日本永代蔵(1688)一「髪の結振を吟味仕出(シダ)し」
② 大きな事業や、たいへんな失敗、悪事などをする。しでかす。でかす。
史記抄(1477)三「司馬遷がしだいたぞ」
歌舞伎幼稚子敵討(1753)三「何として其様な情ない事を、仕出してたもったぞいのふ」
③ 最初につくり出す。新しいものを考案する。工夫する。
※応永本論語抄(1420)雍也第六「知者は、智恵をめぐらして面白きことをしたすことを楽也」
※浮世草子・西鶴織留(1694)一「銅細工(あかがねさいく)する人をかたらひはじめて懐炉といふ物を仕出し」
④ 準備する。用意する。
平家(13C前)三「かたのごとく御湯しだいてまいらせたり」
⑤ しゃれた衣服を着る。おしゃれをする。
※浮世草子・好色五人女(1686)三「さりとは花車(きゃしゃ)に仕出(シダ)し、三つ重たる小袖、皆くろはぶたへに裾取の紅(もみ)うら、金のかくし紋」
⑥ 商売を発展させる。財産をふやす。もうけ出す。かせぎ出す。
※俳諧・談林十百韻(1675)下「仕出しては浪にはなるる舟問屋〈卜尺〉 秤の棹に見る鴎尻〈一鉄〉」
※歌舞伎・東海道四谷怪談(1825)序幕「今は商人薬売り、藤八五文で仕出(シダ)した金」
⑦ 料理を注文に応じて調理し、届ける。
青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春「園枝等の逗留中は三食共仕出(シダ)させる事に為た」
建造物の外がわに突き出して構える。

し‐でか・す【仕出・為出】

〘他サ五(四)〙 大変すばらしいことや大変悪いことをする。しだす。しとげる。やってのける。やらかす。
※歌舞伎・お染久松色読販(1813)中幕子供子供と思わせて、大きなことをしでかして、後々旦那へ御苦労懸け」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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