人形仙越(読み)にんぎようせんごえ

日本歴史地名大系 「人形仙越」の解説

人形仙越
にんぎようせんごえ

伯耆国と美作国の国境にあたる津山往来にある峠。人形仙峠ともよばれた。人形仙(一〇〇四メートル)山頂東側の鞍部にあたり、標高約八〇〇メートル。地名は峠の通行を悩ませた大蜘蛛を、人形をおとりにして退治したという伝説にちなむという(伯耆民談記)。また元弘三年(一三三三)の後醍醐天皇還御伝説もあり、船上せんじよう(現赤碕町)から曹源寺そうげんじ安水あんずい穴鴨あながもを経て、当地から美作国へ抜けたと伝える。なお人形仙越の東方にあり、現在人形峠とよばれる峠は、江戸時代には打札うちふだ越と称された。

人形仙越について享保一九年(一七三四)の鈴木孫三郎所持本「伯耆誌」の木地山きじやま村の項に作州津山への街道として、人形仙を越えて作州西西条さいさいじよう上才原かみさいばら(現岡山県上齋原村)へ二里半、国境へ一里弱とあり、「伯耆民談記」には木地山村より国境人形仙まで一里七町四〇間、国境より上才原村まで二二町四〇間とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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