交・躱(読み)かわす

精選版 日本国語大辞典 「交・躱」の意味・読み・例文・類語

かわ・す かはす【交・躱】

〘他サ五(四)〙
[一] (「かう(交)」の他動形)
① 互いにある動作をする。互いに…し合う。動詞の連用形に付いて補助動詞的に用いる。「言いかわす」「思いかわす」「聞こえかわす」「取りかわす」「見かわす」「呼びかわす」など。
② 互いに言葉や気持などを通い合わせる。やりとりする。
源氏(1001‐14頃)若菜下「あさゆふのむつびをかはさむにはいとつつましき所のありしかば」
※大鏡(12C前)三「御みやびをかはさせたまふに」
③ 互いに交錯させる。
※源氏(1001‐14頃)桐壺はねを並べ枝をかはさむとちぎらせ給しに」
[二] (「かわる(変)」の他動形)
① 変える。移す。
万葉(8C後)一七・四〇〇八「月立たば 時も可波佐(カハサ)ず 石竹花(なでしこ)が 花の盛りに 相見しめとそ」
※能因本枕(10C終)一〇〇「時かはさず縫いてまゐらせよとて、ひらぎぬの御ぞをたまはせたる」
② 追い越す。過ぎる。
猟銃(1949)〈井上靖みどりの手紙「十何頭かの競走馬直線の追込みで次々に交(カハ)して行く」
③ (躱) 身をひるがえして避ける。また、比喩的に、そらす。
浄瑠璃・国性爺合戦(1715)千里が竹「もぢってかくれば身をかはしたゆめば、ひらりと乗うつり」
※浄瑠璃・新版歌祭文お染久松)(1780)長町「アレアレ又幻妻がこっちへうせる。かはせかはせとばらばらに」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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