井川城跡(読み)いがわじようあと

日本歴史地名大系 「井川城跡」の解説

井川城跡
いがわじようあと

[現在地名]松本市井川城

小島こじま村の北にある。建武元年(一三三四)小笠原貞宗が松本進出の際居館したところで、「井河館」は笠系大成などの文書にしばしば出てくる。江戸以降の当地の文書に「小島村古城地」「井河城」とも記される。

「信府統記」に「小島村古城地 井河ノ城ト称ス、沼ノ城ナリ 本城地形少高シ、広サ東西四十間程、南北五十六、七間、東ノ方に虎口ノ跡一所アリ、其涯今ハ蕪地ニテ、草生水ツキナリ、本城ノ内皆畑ニ成リタリ、土手形・矢倉台ノ跡ト見ユル所、塚ノ如クナリテアリ、四方沼ニテ流レモアリ、其内ニ取分深キ所ヲ釜ト云フ、辰巳ノ隅ニ黒田釜ト云フアリ、其所ヘ南東ヨリ流ルヽヲ鐙取リト云伝フ、所由アルニヤ、惣テ此地ノ流レ水上アル川ニ非ス、皆近辺ノ出水ナリ、西ノ方ノ川是ヲテ川ト云フ、出水(泉)故号セルナルベシ、幅六、七間足入ル故渡ルコトナラズ、北ニテハ七、八間バカリアル所モアリ、皆田ニ成セリ、川ノ向フ西ノ方ニ鎌田村アリ、是ヨリ西南五、六町ハカリニ征矢野村アリ、此北ノ方マテ三ノ曲輪ニテ、今ニ堀ノ跡アリ、今ノ鎌田村ハ曲輪ノ内ナリト云フ、此城辺ノ水皆北ヘ流レテ薄川・田川ヘ落ル、本城ノ地形モ南高シ、凡テ此近所ノ田ハ深田ノ足入多シ、小笠原家ヨリ久シク在城アリテ林ノ館ヘ移ラレシ後マテモ兼持テリ、永正元年島立右近城ヲ松本の地ヘ移セルコト悉ク城主記ニ載ル」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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