五日熱(読み)イツカネツ

デジタル大辞泉 「五日熱」の意味・読み・例文・類語

いつか‐ねつ【五日熱】

リケッチア一種シラミ媒介で感染し、約5日間隔発熱下肢の痛みなどを呈する病気。第一次大戦中に欧州戦線で流行した。塹壕ざんごう熱。

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精選版 日本国語大辞典 「五日熱」の意味・読み・例文・類語

いつか‐ねつ【五日熱】

〘名〙 シラミによって媒介される伝染病の一種。第一次世界大戦のとき、戦線で流行した。約五日目ごとに高熱を出し、脛骨(けいこつ)に激しい痛みを感ずる。時には関節痛、胃腸障害、神経痛を伴う。ヴォルヒン熱。塹壕熱(ざんごうねつ)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「五日熱」の意味・わかりやすい解説

五日熱
いつかねつ

5日ぐらいの間隔で40℃近い高熱を繰り返し、全身とくに下肢の脛骨(けいこつ)部が痛むほか、斑(はん)状あるいは丘疹(きゅうしん)状の発疹(ほっしん)がみられることを特徴とする感染症。病原体はリケッチアの一種、バルトネラ・クインタナBartonella quintanaで、シラミによって媒介される。治療にはクロラムフェニコールテトラサイクリンなどの抗生物質が有効である。第一次世界大戦中にロシアのウォルヒニーエン地方(ポーランドウクライナの国境地方)で対戦した兵士の間で盛んに流行したので、ウォルヒン熱とか塹壕(ざんごう)熱とよばれて有名になった。第二次大戦中にもヨーロッパ戦線でみられたが、近年はほとんど発生をみなくなった。

[柳下徳雄]

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