二行(読み)ふたゆく

精選版 日本国語大辞典 「二行」の意味・読み・例文・類語

ふた‐ゆ・く【二行】

〘自カ四〙
① 心が両方へ通う。二心をもつ。二股をかける。
万葉(8C後)一四・三五二六「沼二つ通は鳥が巣吾(あ)が心布多由久(フタユク)もとなよ思(も)はりそね」
二度通って行く。二度繰り返す。
※万葉(8C後)四・七三三「うつせみの世やも二行(ふたゆく)何すとか妹に逢はずて吾が独り寝む」

に‐ぎょう ‥ギャウ【二行】

〘名〙
① 二つの列。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一三日「にしのひさしは上達部の座、北をかみにて二行に」
② 悟りを得るための直接的な本来の行である正行とそれを助長する間接的な行である助行の二つ。または正行とその準備となる修行としての加行(けぎょう)の二つ。また、浄土教では阿彌陀仏を対象にした正行に対し、他の仏を対象にした雑行(ぞうぎょう)を立てて、正雑二行という。〔末燈鈔(1333)〕

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