九十九島(つくもじま)(読み)つくもじま

日本大百科全書(ニッポニカ) 「九十九島(つくもじま)」の意味・わかりやすい解説

九十九島(つくもじま)
つくもじま

長崎県島原半島の東海岸に散在する島嶼(とうしょ)群。島原市に属する。総面積0.15平方キロメートル。1792年(寛政4)眉山(まゆやま)の大崩壊によって、土石流は海岸一帯を埋め、さらに海面に及び、新しい海岸線は旧海岸線の沖合い870メートルに生じた。旧海岸線近くにあった丘陵はさらに2.2キロメートルの沖合いまで地すべりによって押し出され、多数の島々を生じ、九十九島とよばれている。これらの島々は1822年(文政5)伊能忠敬(いのうただたか)が作製した測量図では59を数え、もっとも遠い甲(かぶと)島は新海岸より1.5キロメートルの沖合いにあったが、明治期には甲島をはじめ十数個の島は消失し、島々は三十数個となり、さらに海食によって浅瀬と化して海底に沈み、現在ではわずかに20個を数えるのみ。櫛形島(くしがたじま)、青木島(あおきじま)、鷹(たか)島、平(ひら)島、竜宮(りゅうぐう)島、兎(うさぎ)島、蛭子(えびす)島、繁(しげ)島、杵(きね)島などがそれで、標高10~20メートルで、軟弱化された安山岩からなり、きわめてもろい。最近島々を保護する堅固な石垣を巡らし、他方では、島原港防波堤役目を果たさせようとしている。

[石井泰義]

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