之あり(読み)これあり

精選版 日本国語大辞典 「之あり」の意味・読み・例文・類語

これ【之】 あり

(漢文訓読によって生じた表現) 「あり(有)」を強調していう。⇔これなし
古今(905‐914)真名序「若夫春之囀花中。秋蝉之吟樹上。雖曲折。各発哥謡。物皆有之」
※露団々(1889)〈幸田露伴〉八「驚醒に属する事と恋慕に付ての事とは全く大小差別之れあり候事なれば」
[語誌]漢文の「之」は「有」の目的語にあたり、国語ではよむ必要がなかったが、後世訓読で「これ」とよむ習慣が固定し、訓読文体や候文体などでは「これあり」がほとんど熟合して「有り」の代わりに用いられ、「まだ若年にも有之」のような補助用言の用語をも生じた。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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