こく‐ご【国語】
[1] 〘名〙
① ある一国における共通語または
公用語。その国民の主流をなす民族が歴史的に用いてきた
言語で、
方言を含めてもいう。
※解体新書(1774)一「凡有レ物必有三羅甸与二国語一、今所二直訳一、悉用二和蘭国語一也」
② 特に、日本の言語。日本語。みくにことば。邦語。
※
随筆・秉燭譚(1729)二「日本にて文尾に必あなかしこと書き〈略〉あなとは国語にて発語の音、かしことはおそるることなり」
③
借用によらない、日本固有の語。
漢語、外来語に対し
ていう。
和語。やまとことば。
※寄合ばなし(1874)〈榊原伊祐〉初「国語(コクゴ)で言へばつひわかる事を、漢語でむづかしくいふて」
④ 学校教育の教科の一つ。日本の言語および言語文化を取り扱う。「
漢文」と対置または併称され、またこれを内容に含む場合がある。〔文部省布達番外‐明治五年(1872)九月八日〕
[2]
中国の
史書。二一巻。魯の太史
左丘明の著と伝えるが
未詳。
春秋時代の八か国の歴史を
国別に記したもので、周語三巻、魯語二巻、斉語一巻、晉語九巻、鄭語一巻、楚語二巻、
呉語一巻、越語二巻から成る。呉の
韋昭(いしょう)の注がある。盲史。
外伝。
春秋外伝。左氏外伝。
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国語
こくご
次のようないろいろの意味で使われる。 (1) 1つの独立国家において公に認められた言語 (→標準語 , 共通語 ) 。国家語ともいう。フランスの「国語」はフランス語である。アイヌ語のような民族語は,この意味では「国語」ではない。また,スイスのように,ドイツ語,フランス語,イタリア語,ロマンシュ語の4つの国語をもっている国もある。また,日本,中国,韓国などのように漢字を用いる国では,他国の言語よりも特に重んじる意味で,尊厳の気持を加えて用いられることがある。 (3) を参照。 (2) 1つの独立国家における諸民族の言語の総体で,諸方言も含む。プロバンス方言もフランスの「国語」に属する。なお,日本では古く「国語」が「お国言葉」すなわち方言の意味で用いられたこともある。 (3) 日本語のこと。これが日本における通常の用法であるが,「国語」には日本だけのものといった排外的 (閉鎖的) 意味が伴いがちなので,より客観的に世界の言語の一つとして「日本語」と呼ぶ立場もある。 (4) 漢語や外来語に対して,本来の日本語の意味。「和語」に同じ。 (5) 俗に教科の「国語科」の意。
国語
こくご
Guo-yu
中国,古代の歴史書。『春秋外伝』ともいう。 21巻。国別の春秋時代史。「国語」とは「各国の歴史物語」の意。『周語』 (3巻) ,『魯語』 (2巻) ,『斉語』 (1巻) ,『晋語』 (9巻) ,『鄭語』 (1巻) ,『楚語』 (2巻) ,『呉語』 (1巻) ,『越語』 (2巻) に分れ,それぞれが史談集という形で記されている。各国史ではあるが同時代の主要国はすべて含まれ,春秋時代全史でもある。古くから『春秋左氏伝』同様,魯の左丘明の著といわれるが,1人ではなく各国の史官の記録もしくは別々の著述を漢代頃編集したと思われる。三国呉の韋昭 (いしょう) の注が多く用いられる。
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国語【こくご】
一般には日本語の意味で使われているが,それぞれの国家の自国語という意味では,当の国家の公的な言語を指し,国家語あるいは公用語ともいう。日本語を指す〈国語〉という言葉は明治の初期に生まれ,1894年上田万年が講演の題名〈国語と国家と〉に用い,〈国体の標識〉としての〈国語〉と表現してから定着した。日本(語)特有の表現であったが,中国,韓国,台湾などの漢字使用国でも用いられるようになった。これに近いヨーロッパ語は,フランス革命で生まれた〈langue nationale〉である。→日本語
→関連項目インドネシア語|共通語|言語政策|標準語
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国語
こくご
春秋時代における大国の国別歴史書
『春秋左氏伝』を『春秋内伝』というのに対し,『春秋外伝』ともいう。21巻よりなる。孔子の弟子魯 (ろ) 国の左丘明の撰といわれる。周・魯・斉・晋・鄭 (てい) ・楚・呉・越の前10世紀から前5世紀半ばごろまでの事跡を国別に記す。記事は各国史官の記録を収録したもので,記述に統一を欠く点もあるが,この時代の各国興亡の全容を知る上では貴重な書。
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デジタル大辞泉
「国語」の意味・読み・例文・類語
こく‐ご【国語】
1 一国の主体をなす民族が、共有し、広く使用している言語。その国の公用語・共通語。
2 日本の言語。日本語。
3 「国語科」の略。「国語の先生」
4 外来語・漢語に対して、日本固有の言葉。和語。大和言葉。
[補説]書名別項。→国語
[類語]母語・母国語・邦語
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こくご【国語】
一般には〈日本語〉の意味で使われているが,〈何ヵ国語も話せる〉というような場合は,他と異なる記号の体系としての言語をさす。しかしより厳密にそれぞれの国の自国語という意味では,ある国家の公的な言語をさし,〈国家語〉あるいは,〈公用語〉ともいう。アイヌ語はこの意味で国語ではない。国家語をもたない国家はないが,ある言語が,2ヵ国以上の国家語となることはありうる。たとえば,英語はイギリス連邦諸国,アメリカ合衆国の国家語である。
こくご【国語 Guó yǔ】
中国,春秋時代の歴史を国別にまとめた書。21巻。著者は不明。孔子の門人の左丘明の作とする説があり,《左氏伝》を〈春秋内伝〉と言うのに対して,〈春秋外伝〉と称される。春秋時代には斉・晋・楚・呉・越がかわるがわる中国の覇権をにぎり,歴史はその興亡を主軸として展開された。本書はこの5国,いわゆる春秋の五覇に,旧大国である周・魯・鄭の3国を加えて構成されている。記載する年代は,周の穆(ぼく)王35年(前967)から貞定王16年(前453)までで,《春秋》が記載する年代(前722‐前481)よりはるかに長い。
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